妖魔03(R)〜星霜〜
「多分、知り合いぐらいじゃないか」

「そうですか」

どこかしら陰鬱なイメージがある。

何かが原因なのか?

それとも、地がそうなのか?

出会ったばかりだから、よくは解らない。

「それ」

「兄は、人と上手にやっていけてますか?」

俺が別れの挨拶をしようとすると、女の子は話し始めた。

少し、厄介なところである。

「やっていけてるんじゃないのか」

「そうですか」

「それじゃあ」

「いつも、兄は私にかかりっきりで」

またまたタイミングを奪い去られてしまったぞ。

近くにいると、陰鬱な気分が移ってしまいそうだ。

「本人も好きでやってるんだろうよ」

「そうですか」

「君のお兄さんは君が思っているよりもしっかりしてるし、問題はない。解ったな?じゃあ、達者で暮らせよ」

多少早口になりながらも、振り返るとウッドがいつもより怖い表情で立っていた。

「よ、よう」

「お前、何してる?」

「落ちてた毛糸を届けただけだよ」

「兄さん、私」

「私」の後に何か続けろよ。

ウッドがどんどん険しい顔になってるじゃないか。

「お前、リーフに何をした?」

「何もしてないって」

「私、とても寂しい気持ちになりました」

「お前!」

「今の会話のどこでお前が怒る部分があるんだ!グゴ!」

締め付けられるように少しだけ苦しくなる。
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