妖魔03(R)〜星霜〜
「このボケもん!」

熟練されたベアクローをモンドに決める。

「い、イタタタタタ!」

暴れるが、俺は離す気はない。

「テメーがオニギリを食ったことはまだ許せなくもない!だが、それ以上にチェリーに取った態度が許せん!」

朝のストレスも含めて、モンドにぶつける。

子供相手に大人気ないが、子供の頃から躾は必要だ。

しかし、相手は子供だといっても妖魔。

半妖とは違い、生まれた頃より能力の事を知っている。

外から石がライナー状に飛んできた。

「ち!」

俺は首を動かして石を交わす。

「俺の頭は石よりも柔らかいんだぞ!」

モンドの後方には、小さな石から大きな石まで浮かんでいるようだ。

畑仕事の続きがあるというのに、無駄な体力は使う気はない。

まだ、俺はモンドの頭から手を離していない。

「理不尽な事があったら何でも能力で解決できると思うなよ?」

石が飛んでくる前に一気に魔力を吸い上げる。

「え?」

初めて起こった体験なのかもしれない。

俺の魔力吸引の呪いはレベルが上がっているらしく、浮かんだ石が襲ってくる前に地面に落ちた。

モンドも、力なく地面に座り込む。

「魔力酔い、か」

目眩のように少しくらつくものの、歩けないわけでもないし飯を食えないわけでもない。

「モンド?モンド?どうしたの?」

チェリーが心配すると、モンドは意志のある目をチェリーに向ける。

「問題ねえ、少し立てないだけだと思うぜ」

「本当?」

俺は窓枠を飛び越えて、モンドに手を当てる。

魔力を放出させて、モンドに魔力を返す。

さすがに、魔力酔いのままじゃ仕事がしにくいからな。
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