妖魔03(R)〜星霜〜
「うめえよ」

抵抗が無駄だと感じたモンドは無愛想ながらにも返事をした。

「な?モンドもこう言ってるんだし、ちっとやそっとの砂利がかかったところで不味くなるわきゃないんだよ」

「お兄ちゃん、ありがとう!」

「どういたしまして」

時間的にすれば、そろそろ昼食の時間が終了する。

結局、まともな食事を取れずに終わってしまったわけか。

「チェリーにはっきり好きだって言ってもらいたけりゃ、優しくしろよ」

「あんた、うるせえよ」

モンドの言うとおり、少しばかり自分で説教くささを感じた。

だけど、普段から自分で気付けない奴は、大変な出来事が起こった後で気付くのか、誰かが言って気付かせるのか、多大な時間をかけて成長した後で気付くのか、三択しかない。

俺がしているのは、余計な世話なのかもしれないけどな。

しかし、昼飯のオニギリ君は一つ残っているが、二個目は腹を壊しそうである。

昼飯の時間終了という事でごまかしつつ去ろう。

「それじゃ、俺は行くぜ」

「うん!お母さんにお兄ちゃんが褒めてたって言っておくよ!」

チェリーは元の笑顔に戻ったが、モンドは前以上に睨みつけてきている。

そんなに、自分だけを見て欲しいのか。

子供二人と別れた俺は、一人雑草抜き場に戻ってきた。

数で言えば、まだまだ残っているようだ。

先に来ていたウッドが、手に何かを持っている。

「これ、少しでも楽になるための道具、貸す」

小さい鍬のようである。

子供の頃に使った事はあるだろう、砂かきのような形をしている。

しかし、最初からあるのなら貸して欲しかった。

サボらずやっていたからだろうか。

それとも、時間がかかりすぎるから使えという事なのだろうか。

「ありがとう」

何にせよ、雑草は結構根強く強敵だから助かる。
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