キラキラ
溶け合う、響き合う
「雪音、バンドやってるんだって?」
初夏の香りがする教室で、祐夏がお弁当を食べながら、私に聞いた。
野球部のマネージャーの彼女の肌は、少し陽に焼けている。
「うん。でも、何で?」
バンドを始めたことは、実は誰にも言っていなかった。どこで誰に聞いてもらうってわけでもないし。
「水くさいなぁ、もう。教えてくれたっていいのに。」
ごめん、と小さく謝ると、祐夏は、雪音らしいけどね、と笑った。
「武ちゃんがね、最近妙に楽しそうで、何かいいことあったのって聞いてみたの。最初はなかなか言おうとしなかったんだけど、バンドにボーカルが入ったからって。」
にこにこ笑いながら、祐夏が続ける。
「葛木くんに聞いたら、雪音だって言うじゃない。私、なるほどなぁって思って。雪音の歌、すごく上手だもんね。」
…武ちゃん?
話の内容よりも、そっちが気になった。
「知り合いだったの?」
そう聞くと、祐夏ははにかみながらこう答えた。
「二人とも、中学が一緒で、武ちゃんは…彼氏なの」