キラキラ
不安になる。
びゅうびゅう吹く北風に首をすくめる。
ボールを布で磨きながら、祐夏は考える。
バンドを組んでからの武弘は、いきいきしていて、とても楽しそうだ。そんな武弘を見るのは、嬉しい。
でも。
どことなく、武弘の心がここにないような感じがする。
部活もあり、バンドの練習もあるので、以前のように毎日一緒にいることはないけれど、会えば手を繋ぎ、腕を絡ませて、抱きしめあって、キスをする。
その行動は嘘ではないのに、何故か不安でたまらなくなる。
「坂下さーん!ボール!」
はーい、と元気な声を返して、ボールの入ったカゴを持ち、立ち上がる。
長袖のジャージに、高校のロゴが入ったジャンパーを着る。
大丈夫。
そう自分に言い聞かせながら走り出す。