キラキラ
「祐夏!待てよ!」
細かい雨が降りだした夜の道を、全力で追いかける。
「今日は練習日でしょう?一緒に連れてって」
と言われるがままに、祐夏をスタジオに連れてきた。
扉を開けると、武弘と雪音が、激しいキスを繰り返していた。
思わず頭に血が登って、武弘を殴ろうとした。
祐夏は、わかっていたのか?最初から、雪音を刺すつもりでナイフを忍ばせていたのか?
そんなに追い詰められていたなんて。
白い息を吐きながら、前を走る祐夏を追いかける。
「来ないで!」
と、祐夏が叫ぶ。
今はどんなお願いも聞くってわけにはいかないんだ。
やっとの思いで祐夏の腕を掴み、立ち止まらせた。
「祐夏」
ハァハァと息切れした声で、祐夏に話しかける。
「祐夏が傷付いていたのはわかってた。どうしようもなく武弘が好きなことも、わかってる。でも、今きみが雪音にしたことは、とても大きなことだ。」
祐夏がビクッと体を強張らせる。
「一緒に戻ろう。」
そう言って祐夏の肩を抱こうとすると、祐夏は俺の手を振り切って、また走り出した。
「祐夏!」
その時だった。
けたたましい音と共に、眩しい光が祐夏に直撃し、冷たい霧雨の中を、祐夏の体が宙に舞った。