キラキラ
敬太は、武弘が帰ったしばらく後に顔を出した。
ごめんな、俺は何もできなかった、と申し訳なさそうに言いながら。
「とりあえず、武弘のやつは一発殴ってやったよ」
と、照れ臭そうに言った。
「祐夏には武弘しかいないけど、俺はきっとそんな祐夏が好きなんだと思う。だから、俺も今まで通り、あいつらの傍で見守ることにしたよ。」
いつも見せる、涼しげな顔をして、敬太は私に宣言した。
瞳は、キラキラと輝いている。
「隙があったら、奪ってやるぜ。俺ってこう見えてモテモテなんだからさ。」
冗談めかして言う敬太は、優しい眼差しで、大人のようだった。
「俺、楽しかったよ。バンドの仲間で本当によかったと思う。ありがとな、雪音。雪音のおかげだ。」
そう言って、にかっと笑っていた。
私は、祐夏に会いに行っていない。
警察に事情を聞かれたが、事故だと言い張り、帰ってもらった。
武弘も敬太も、私の気持ちを察して、祐夏のことは伏せてくれた。
大切な人に、出会えたと思う。
少しの間だったけれど、それは私のなかでキラキラと輝いている。
病院の屋上で、夕陽に染まった街を眺めながら、冷たい風を受ける。
「…見つけた」