スノースマイル
僕は、そう言うと美佐の小さな左手を僕の右ポケットにお招きした。

(昔は良くしてたっけ?)

そんなことをふと思い出す。

「ねぇ!!ちょっと!!人が見てるよ?」
「誰も気にしねえよ。俺らの関係なんてバレバレだし。」

僕と美佐は、中学の頃付き合っていた。

(今は、ただの幼馴染だよな・・・。)

「そうだね・・・。」

美佐が小さく呟くように言った。
信号が青に変わる。
僕らはまた、一歩一歩、歩き始める。
2つ目の信号を右折し、それでも僕らは細道を歩き続ける。
イチョウ並木を横目に通りながら、美佐がポツリと言った。
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