女王様御用達。

銀の光が体に触れた瞬間、その光は消失した。




『?』



おかしい。

そう言わんばかりだ。

彼は自分の手を見つめ、アタシ達を見つめた。


ハチがアタシとシュシを守るように抱きつき、アタシは床に座り、シュシは床に倒れ。



ミアも床に倒れ、王子が抱きしめ。



白銀の騎士が床に転がる。


…そう、誰も反撃も防御もできない状態だった。



『もう1回』



彼の手から放たれる光がアタシ達の目の前に現れる。


当たるか当たらないか、その瞬間、消える。


何故?



『あれ?なんか変な技使っている人いない?』


彼は笑いながらも顔を引きつらせていた。



ハチは怖いらしくアタシに抱きつき震えている。

多分アタシを守るつもりだったのだろうが、それは十中八九守りにはならない。

そして、ハチからその間呪文は聞こえなかった。

王子だってそうだ。


さすがにこの規模の魔法を消すには相当の呪文が必要。

しかしそれが聞こえない。


シュシ、ミア、白銀の騎士は倒れ、とても術使えるような状況に無い。


『ちょっと、何で神ちゃまの術を無かったことにしてくれるの?』



アタシに入った闇属性も、おそらくある程度耐性を持ったであろう白銀の騎士の属性も、こんな術を消せる程度の規模ではない。


王子…は未知数だけど、そんな使い手ならば国で噂に聞くはずだ。

彼の父親や母親や親戚も、そんなバカ強い魔術師がいたなんて話は聞いたことがない。


ハチも、その能力のなさはあらゆるデーターで納められている。

運動能力皆無、魔力も皆無。

あらゆる属性と縁が無く、とても魔法が使える状況ではないことが大量の資料で調べられている。

コイツの能力データーはやたら取りまくられていて、もはや調べるところが無いくらいだ。


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