女王様御用達。
待て。



よく考えろ。


何故、たかがエロ本作家にそこまでする必要がある?


魔術で大量殺戮をしただとかならまだ分かる。

一般的な囚人は、能力の有無を調べ、無かったらそれでおしまいだ。

無いから魔法がどの属性を持っているかなんて調べない。


曰く付きのエロ本作家。


その本名は世界中で卑猥な言葉として今は理解されている。

リュウズ一番の不祥事で、何故かルールがこだわった。

たかがエロ本をガキが書いたくらいだ。


確かに、その内容のきわどさに思うところはあったかもしれないが、ルールはそこまで頭でっかちじゃない。




何故コイツをそこまで調べた?

そして、金のかかる女王騎士を使い、今も警護させている?


ハチは本当に怖いのだろう。

アタシからしがみついて離れない。

その背で、神は見えない壁にぶち当たっているように自分の手を眺めている。

そしてアタシの方を向く。




『……何をしたの?怒らないから言ってごらん』

その口調はすでにいらついている。



「特に、何も」



そう。

ここにいる人間、誰も変な術を使った形跡はない。

さすがにそれは、力の気配で分かる。

問答無用で城をなぎ倒す力を防ぐなんて、相当な力を自身が発揮しなければできるシロモノじゃない。


呪文を唱えず、術を発動する。


それはこの自称神と白銀の騎士は使って見せたが、そう言った場合威圧のような力の発生が肌にビリビリと感じられるものだ。


しかし、これは違う。


まるで術をつかった人間がいない。
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