女王様御用達。
ハチは、九番に一番近い穴に入れようと狙いを定める。
パチン。
白玉はふらつきながらもまっすぐに九番へ。
「お」
「行けぇ!!」
しかし、玉は九番の端を叩き、九番は穴と反対方向へ転がっていく。
「ははは、ダセェ」
「はじめてですから!!」
コロ、ガコ。
狙っていた穴とは逆の方向にある穴に玉が入っていった。
「「おっ?」」
…テーブルの上には白玉1つ。
ハチは両手で1回パチンと拍手してガッツポーズ。
得意げに最高にかっこいいっぽい表情を浮かべ笑った。
「ちっ……ビギナーズラックかよ」
「俺の実力ですな」
ハチは笑いながら、落ちた九番を見せびらかす。
「例え誰かの軌道に乗せられても、逆にその軌道を利用して自分の好きな方向に持って行けばいい」
ハチは目を細め九番をみつめた。
「俺は、物語を書くことでそれがシュシの力になればと思います」
「アタシも、ミアは神なんぞに選ばれなくても立派な女王になれると思うよ」
そしてアタシも。
例え今の地位が、何か大きな力に乗せられて出来た場所だとしても。
アタシはそれを利用して前に進んでみせる。
その軌道に、例え、ルールがまた敵として目の前に現れたとしても。