女王様御用達。
赤い薔薇が咲き乱れる自然公園。

ミアとフォーク王子の結婚式はそこで市民を交え盛大に行われた。


青空をバックに、投げられたブーケはふわりふわりとこちらの方へ飛んできた。

花なんか興味ない。

ハチにそう漏らした本人だったが、さすがにブーケがこっちに来ると自然と手がキャッチ方向に動いていた。



「ニアさん!!ナイスキャッ」


ハチが声を上げ、その包装に触れる寸前で、そのブーケは消えた。


「?」


「さすが、オーノン。花生産の技術は高いな」

隣でブーケを眺める赤スーツに、アタシは「げっ」と声を上げた。

「ルール……」

赤スーツに赤眼鏡。

完璧な館長仕様で、とても女王姿ではない。

ドハデ過ぎて結婚式の参列姿でもないけど。


「お前、公務はどうした?」

「影武者がソツ無くこなしてる」


ハチが隣でポカンとその様子を見て首をかしげる。


「この人誰っすか?ニアさん」


……顔の覚えが悪いって書いてあったな。

館長室にいないからなおさら忘れたのだろう。

とりあえず、めんどくさいからハチはおいとこう。


ドレスを着たミアとフォーク王子がパタパタ走ってくる。


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