女王様御用達。
「ルールちゃん!!なんで一般に混じって!!」

「ミアの花嫁姿をひと目みたくてね。忍んできたからあまり騒ぐな」

人差し指で唇を押さえるルールに、ミアは目をうるうる潤ませた。


「ありがとう」


そして、ルールはフォーク王子に目線を合わせる。



「王子、そそっかしい奴ですがミアをよろしくお願いします」


「はい!!」


王子は大きく頷いた。

挨拶回りは他の来賓にもしなければならないらしく、せわしく2人で公園を駆ける。

アタシは手を小さく振るルールをどこか冷めた目で見つめていたかもしれない。


ルールがアタシの方に向く。

ちらっと視線を人混みにおぼれそうになっているハチに走らせ、微笑んだまま目をじっと見つめてくる。

まるでアタシの心に探りを入れるかのように。

アタシは視線をそらした。

ルールは白百合を自分の鼻に近づけ、薄く笑う。



「……リュウズに帰ったら事情を話してやるよ。お前にもな」



お前にも。


他に関わったのはクロだ。

そしてそのクロは、それ以降ルールと距離を置いている。

白い本の存在と、ただのエロ小説家のはずのハチの存在。

ハチに対するルールの待遇の不自然さ。



「……覚悟しといてやるよ」


アタシはニッと笑った。






~女王様御用達、第2話「死神の王冠」完~ 

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