幕末伝 新撰組日記
「フフッ…成島珀、一カ月連続寝坊。新記録達成ですね、珀」



「げっ、沖田さん…」



台所の出入り口の柱に寄りかかる、このイケメンは沖田総司


新撰組最高の剣士である反面、腹の中が真っ黒である


朝からこの人の顔を見ると言う事は、今日は凶日だろう



「げっ、てなんですか。朝から僕の顔が見れるんですよ?これ程ありがたい事なんて滅多にありません」



「むしろその逆ですよ。あなたの顔を朝から見てありがたいなんて思う人は居ないでしょうよ」



俺は鮭を焼きながら沖田さんに言う



「鼻、へし折りますよ?」



沖田さんは黒い笑みをこちらに向けて言う



「なっ、なんでこれだけでそこまで追い詰められなければいけないですか!?理不尽な事この上ありませんよ!」



「理不尽と言う文字は僕の辞書に五番目に重要な言葉だから、僕は理不尽を大切にするんです」



「意味分かりません!ツッコミ所がありすぎです!」



その瞬間、俺の横から焦げ臭い臭いがした

まさか…と向いてみると、案の定、鮭が一匹、黒い煙を出していた



「ああーーー!!!ちょっ、沖田さん!どうしてくれるんですか!?貴重な鮭がっ、鮭がァァァァァ!!」



と、俺は嘆きながら沖田さんに訴える



「知りません。自業自得、ですよ」



対し沖田さんは聞く耳持たず


ああ、本当に今日は悪い日になるな…
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