幕末伝 新撰組日記
そして俺達は広間につき、障子を開けた


広間には誰もいない……はずなのだが



「よう珀。今日も寝坊したんだって?」



「フッ…マヌケな事この上ないな」



そこにいる二人を見て、俺は大きく落胆した


……ほんとっ、今日はついていない


そこにいる二人は、ここ、新撰組の組長格であり、変人である



「おお、源さんもお早う」



「お早う新八君」



今、源さんに挨拶をしたのは永倉新八

深緑色の鉢巻をいつもしている

この人を一言で言うなら女&酒好き野郎。遊郭には毎日の様に行くし、巡査中も酒を飲む馬鹿野郎だ



「源さんはいつも真面目で、尊敬しますね…対してこいつは…」



と、こっちを向き、藤堂さんはフッと鼻で笑った

この人は藤堂平助。童顔のくせに沖田さん並に腹が黒い

沖田さんと藤堂さんがくっつくとロクな事がない



「まったく、寝坊一カ月連続なんて聞いた事ないねぇ。原田さんがいなかったら、副長の雷が落ちてるな」



「チッ、藤堂さんは黙ってて下さいよ。寝坊位、誰でもやりますし」



俺はお盆を机の上に置き、そう言った

刹那、藤堂さんは俺の頬を左右に引っ張る



「いだだだだだだだだっっ!!!」



「ふうん、いつからそんなに俺に反論出来るようになったんだ?このまま頬を引きちぎろうか?ん?」



藤堂さんから可愛いらしい黒い笑みが飛ぶ



「ふみまへんれひた…」



「いいだろう」



藤堂さんは頬から手を放した

ああ痛かった…
ほんっっとにこう言う性格の人は最悪だよな…


と言うこの気持ちは、勿論俺の心のタンスに閉まっておいた
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