◆小悪魔素直
屋上を出ようとしたとき、美樹が俺のシャツの裾をつかんだ。




「?」


美樹が、うつむきながらつぶやく。




「ねぇ光汰……ほんとにあたしなんかでいいの?かわいくないし、素直じゃないし、それに」

「何言ってんだよ。俺の一番は美樹なの。さっきのもう忘れた?」





美樹があまりにもバカらしいこと言うから、かぶせて言ってやった。





「………ありがと」



恥ずかしそうに、またうつむきながら美樹が礼を言った。




「どういたしまして!でも俺、何にもしてないよ?」



うん。俺何にもしてないのに。


「~~~~もう、これだから光汰はっ」




なんとも言えない顔をして、美樹は俺をおいていっちゃった。




「まってーーー!」



「しょうがないわね。」





俺を笑顔で待っててくれる美樹。


俺が美樹に追いついたとき……




2人の影は、1つにつながっていた。



< 11 / 20 >

この作品をシェア

pagetop