◆小悪魔素直
……イヤ。行きたくないよ。



でも、行かないわけにはいかないよね。



小さくいおりにばいばいを言ってから、光汰の方に行った。




光汰は何も言わないで、歩き出した。

目が、ついて来いって言ってる。




どこに行くんだろう?

お互い無言のまま静かだったけど、後ろからの「光汰クン」コールにはやめてと言いたかった。








―――ギイ……バタン





屋上だ。



こんなの…“お別れ”の定番じゃない。

そんな想いが、胸を締め付けた。




光汰が口を開く。



「なぁ、美樹。なんで昨日からそんなに元気ないんだ?」




正直、驚いた。まず、“別れよう”だと思ってたから。




「別に、元気ないわけないじゃない」



ウソをつくのは簡単なんだ。



「じゃぁなんで、昨日あんまりしゃべらなかったんだよ」

「しゃべらなかったのは光汰の方でしょ?なんであたしがそんなこと言われなきゃなんないのよっ」
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