◆小悪魔素直
そうだよ。

あたしだって冷たかったかもしれない。


でも…光汰も何も言ってくれなかったじゃない。




冷静に放ったつもろの言葉は、確実に震えてた。





―――キーンコーンカーンコーン……



HRが始まるチャイム。


黙る光汰をよそに、屋上からでようとした。




やっぱり、光汰の口から“別れよう”なんて、聞きたくないの。


…………弱虫。




ドアノブに手をかけようとしたその瞬間、体全体が暖かく包まれた。




ああ…抱きしめられてるんだ。




「俺、美樹の彼氏だろ?なんかあったら、すぐ俺に言えよ。頼りないかもしんないけど…」




光汰。

あなたは優しすぎる。


こんなあたしに、そんな言葉は似合わない。もったいない。




でもね?

光汰、素直に言ってくれたんだよね。


だったら、あたしも言わなきゃだね。



こんなこと、一度しか言わないから、ちゃんと聞いて?
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