◆小悪魔素直
―――ギィ……バタン



ドアが閉まってからちょっとして、俺は話しだした。




「なぁ、美樹。なんで昨日からそんなに元気ないんだ?」




一瞬、驚いたように目を見開いた。

でもすぐ、いつものように話しだす。




「別に。元気ないわけないじゃない」


「じゃぁなんで、昨日あんまりしゃべらなかったんだよ」


「しゃべらなかったのは光汰の方でしょ?なんであたしがそんなこと言われなきゃなんないのよっ」




今にも泣き出しそうな表情で、言った。




―――キーンコーンカーンコーン……




HRが始まるチャイム。

無言で出ていこうとする美樹を、そっと抱きしめてとめた。





「ちょ…っと何すんのっ!」


「動かないで」




俺のいつもより低い声にびっくりしたのか、暴れてた美樹が静かになった。






「俺、美樹の彼氏だろ?なんかあったら、すぐ俺に言えよ。頼りないかもしんないけど…」




ちょっとこっぱずかしいけど、俺の本音。

そのまま素直に伝えた。
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