ゴーストな彼
ドアの外でうつむき
立っている彼女が見えた
見えたというより
感じたと言う方が
正しいのかもしれない・・・

あたしは何だか
彼女がかわいそうになり
ドアの方へ歩き出した

悠があたしの行く手を
阻んだ・・・

「何 考えてんだよ・・・
 開けるつもり?」

「でも・・・
 彼女かわいそうで・・・」

「彼女の力にはなれないよ・・・」

「じゃ~ せめて警察に・・・」

「なんて言うの?
 幽霊が教えてくれたって?」

「・・・・・・」

「とにかく 今は
 彼女の存在を無視して」

あたしは彼女の無念さに
胸が押し潰されそうだった・・・

夜が明けるまで
彼女はそこにいた・・・

悠はあたしの側で
ずっとドアの方を
睨みつけていた

夜が明けると
あたしの体は一気に
軽くなった

どっと疲れが出た

倒れ込むように眠る・・・

遠くでチャイムの音が
聞こえる・・・

ピンポ~ン
ドン ドン ドン

「麻紀~!いる~?・・・
 麻紀~!」

美咲の声だった・・・

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