ゴーストな彼

オレは母さんに
背中を見送られながら
家を出る


足元をくすぐる
イタズラな木枯らしたちが
オレのコートの裾を揺らす


「ぉ!この歌スキなんだよな」


オレは少しだけ
ipodのボリュームをあげた


♪~♪♪♪~~~♪



魔が差した・・・

としか他にいいようがない



長年通いなれた道・・・

車2台がギリギリ通るくらいの
狭い道は
先の交差点につなぐ
抜け道になっていて

この時間は特に
車の往来が激しくなる・・・


その道に
足を踏み入れた瞬間だった


「ぁ!危ないっ!!」


道の向こうから叫んでくれた
おばさんの声も届くことなく


オレが気付いた時
車のフロントガラスは目の前だった



キキキキーー!
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