ゴーストな彼
あたし豊崎 真帆(トヨサキ マホ)
高校二年生
小さい頃から やたら怖がりなクセに
好奇心が旺盛で
心霊やミステリーに興味が尽きなかった
そんなあたしをかわいがってくれたのは
仕事の忙しい両親に変わって
面倒を見てくれたおばあちゃん
まるで陽だまりのような温かさで
あたしを包み込んでくれる優しい祖母が
あたしは大好きだった
「もし、真帆が死んだら
幽霊になっておばあちゃんの側に
ずっといるからね」
夜、絵本を読んでもらいながら
そんな話をすると祖母は笑って
「あら、あら
こんなかわいい幽霊なら
全然、怖くないわね
でもね、真帆ちゃんは
まだ子供だもの
死んだりしないわよ
真帆ちゃんはね これから
大人の女性になって素敵な人と恋をして
真帆ちゃんみたいなかわいい子供を産んで
幸せに暮らすのよ
どちらかといえば
年功序列でわたしが先ね」
「ぇ~~~
おばあちゃん死んじゃうの?」
今にも泣き出しそうなあたしに
祖母は慌てて
「まさか、真帆ちゃんが
大きくなって美人さんになって
結婚して子供を産むまで
おばぁちゃんは死なないわよ」
子どものあたしからすると
結婚して子供を産むなんて
何万年も先の話に思えた
だから祖母とはこの先もずっと
一緒にいられると思った
まさか、数か月後に祖母が
あっけなくこの世を去るなんて...