ゴーストな彼

「お前さんみたいに
 生前、霊感の強いヤツは
 死んでからもその力が働き
 物に触れたり人に
 話しかけたりするコトができる」


「ぇ?コレって
 フツーじゃないの?」


「お前は今・・・
 魂だけになったんだ・・・
 身体失くして
 何に触れるコトができる・・・」


「そっか・・・
 オレは今・・・
 形を成さない魂なんだ・・・」


「生前の姿をそのまま
 保っているというのもまた
 スゴイことじゃ・・・」


おじいさんは
歩き出す


「じいさんはオレ達と
 どういう関係?」


「ワシか・・・?
 
 ワシはお前など知らん
 ただ通りすがったら
 オマエさんが見えたんでな
 ココまで強い霊は
 久しぶりに見たからなつい」


「ついって・・・」


「だが、気をつけねばなんぞ」


「?」


「力が強いだけに
 生前とあまり変わらぬ自分に
 不便を感じずココにいると
 そのまま成仏
 できなくなるぞ
 人は輪廻転生
 また生まれ変わって
 次の人生を生きるのじゃ」


「・・・・」



[ぁ・・・
木下さん家のおじいさん
また独り言言ってるわよ
もうどんどん
 ボケがすすんでるわよね]


道の向こう側で
コソコソと立ち話をしている
二人の女性


「ほらみてみい!
 オマエさんたちみたいな
 もののせいで
 ワシはボケ老人扱いじゃ」


おじいさんは嘆くように言った
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