ゴーストな彼
家に帰っても
暗い家の中で
母が泣いているだけで
側についてるが辛かった
オレは外に出て歩く
電柱の影に立ってる女の人
公園にたたずむ作業服の人
気にぶら下がったままの人
車が往来する
道の真ん中でただ
立ち尽くしてる人
周りを見渡せば
いろんな人がいた
ただみんな
その場を動くコトなく
ただ目ん玉をギョロギョロと動かし
道行く人を恨めしそうに
見つめていた
あいつら・・・
歩く事・・できないのか?
じいさんが言ってた通り
霊力が高くなければ
死んでからもその場にとどまり
時期が来るまで
ジッとしてるしか
なさそうだった
あれがいわゆる
[自縛霊]ってやつか・・・
ってコトは
オレは[浮遊霊]ってコトか?
浮遊できる方が
霊力的に上なのか?
ふと視線を感じ
上を見上げると
アパートのベランダから
こちらを見下ろしている女がいた
何だ?アイツ・・・
アイツもじいさんみたく
オレのコトが見えるのか?
さすがに
空を飛ぶコトは出来なかった
「キー・・・
幽霊のクセに情けねぇー」
オレはアパートの階段を上がる