ゴーストな彼
慌ててエレベーターに乗り込み
3Fのボタンを連打する
さっきの男の人が
そこまで迫って来てる恐怖に
勝手におののく
何なの・・・
何なのよ・・・
パニック状態のあたしは
エレベーターが動き出してもなお
3Fのボタンを押し続けていた
エレベーターが3Fに着き
ドアが開くとあたしは
転げるようにエレベーターを降り
スタッフルームに駆け込む
スタッフルームには
同僚の美咲が着替えていた
「真紀・・オハヨ・・・
どうしたの?
青い顔して・・・?」
美咲が怪訝な表情で伺う
「ぁ、オハヨ・・・
ちょっとね・・・
話すと長いから後でね・・・」
あたしは慌てて着替えを始める
「早くしないと
申し送り始まっちゃうよ」
「・・・ぅん」
入り口付近を気にしながら
あたしは急いで着替えを済ます
恐る恐るスタッフルームから顔を出し
辺りを見渡す
「ヨカッタ・・・
憑いてきてはいないみたい」
あたしはホッと胸を撫で下した
そう・・・
あたしの職業は看護師・・・
つい先日、[ICU]という
重篤な急性機能不全の患者を
強力かつ集中的に
治療看護を行う部門に
配属されたばかり・・・
いわゆる
生と死の境を彷徨う人を
こちら側に導くよう
お世話をする所なのに・・・
今のあたしの現状はまさしく
「最悪...」を意味してる
幽霊が見える看護師なんて・・・
やってらんない・・・