ゴーストな彼

物品リストには
一人では持ちきれない程の
物品が書き記されていて
あたしは奥の部屋から
古くなった荷台を取り出し
それを押しながら一人
ブツクサと文句を言いながら
物品庫へ向かう


「もぉ!婦長の奴・・・
 腹立つぅ~~~!
 
 みんな自分がいびり倒して
 辞めさせたクセに・・・
 
 一体この人手不足に
 何人 辞めさせれば
 気が済むっていうの?」


新しく人が入って
丁寧に教えても
婦長があの調子だから
ようやく慣れたかと思えば
いびり倒され
結局みんな辞めていく・・・

患者は増える一方なのに
反対に職員は
どんどん減っていき
残された職員が
激務を背負うハメに・・・

 
「ぁー!もぉ!!
 いっそあたしも
 辞めちゃおうかな~!」



ICUから物品庫は
ほど遠くにある

以前までは近くにあったが
数日前の台風で水漏れして
床が水浸しになったため
物品を全て移動させた


そのため
霊安室の前を
キィキィときしむ
古い荷台を押しながら
通らなきゃいけない・・・


「この荷台もいい加減
 買い換えたらいいのに・・・
 これじゃ~
 せっかくの安眠を
 妨げちゃうじゃないの!!」


そう言いながら
霊安室の前を通りぬける



その時・・・
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