ゴーストな彼
霊安室の前の廊下で
いつもとは違う
感覚を覚える・・・
奥に伸びる廊下は空気が
よどんでいるように見える
全身をザワザワと
まるで蟲がはうように
鳥肌がたってくる・・・
ゾッと背筋に
冷たいモノを感じ振り返る
後ろには何もない・・・
「ほらぁ・・・
さっきあんなモン
見ちゃうから・・・
早く補充して
戻んなきゃ・・・
また婦長に怒られる・・・」
正直 今は幽霊よりも
現実的な婦長の方が
よっぽど怖い
あたしは風のように
霊安室の前を通り抜けると
その先にある
物品庫の鍵を開け
慌てて中に滑り込む
紙に書かれた物品を
次々と荷台に乗せて
物品庫に鍵をかけ
戻ろうとした時
自分のいる場所が
すごくいやな空気に
包まれている事に気付いた
「ヤダ・・・何か・・・
すごくイヤな感じ・・・」
あたしは再び荷台を押し
風のように立ち去ろうとしたが
急に荷台が重く感じられ
全然前に進まない
ゆっくりと進む荷台に
霊安室はどんどん
近づいてくる
もはや自分の意志で
荷台を押してる感覚ではなく
荷台につかまてるあたしを
何かがどこかへ
連れ去ろうとしていた
3つある霊安室の内・・・
真ん中の第二霊安室からは
異様にイヤな気配を感じる・・・