ゴーストな彼

 誰・・・?
 一体誰がいるの?

 確か・・・
 申し送りでは
 ICU(ウチ)からは
 いなかったから
 他の病棟の人・・・?


あたしは何かに
とり憑かれたように
第二霊安室のドアに
手をかけた・・・


「辞めた方がイイよ!」


「!!!」

バチーン!と何かに
弾かれたような気がした


見るとあたしの背後に
悠がいた


「な、な、何!
 ビックリするじゃない
 何であんたがココにいるの?
 もしかしてストーカー?」


張り詰めた空気から
一瞬に解放されたあたしは
安心感からか意味もなく
ペラペラと喋りだす


「たまたま通りかかったら
 あんたがいたんだよ!
 あんたこそ
 俺のストーカーなんじゃねぇの?」


「はぁ?
 何であたしがあんたを
 ストーキングすんのよ!
 ココはあたしの職場なの!
 それに・・・
 たまたまって・・・
 あんた一体どこを
 通りすがって・・・」


悠の険しい顔に気付く
悠は何かを警戒するように
じっと第二霊安室を睨んでいる


あたしは第二霊安室の奥によどむ
空気の渦みたいなモノを感じ
気味悪くなった


さっきとは比べられないほど
軽くなった荷台を押し
霊安室の前を離れる
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