ゴーストな彼

荷台を押して歩く
あたしの後ろから
一緒に憑いてくる悠


当たり前の事だけど
悠の姿は誰にも見えて
いないらしい・・・


「ね・・・」


「んー?」


「誰だったの・・・?
 第二安置にいた人・・・」


あたしは悠に聞いた


「女の人・・・
 殺されちゃったみたいね・・・
 ものスゴイ念だったから・・・
 ココに居つくかも・・・」


「ちょっと!
 変なコト言わないでよ!
 今日はただでさえ
 朝から変なのに・・・」


「何かあったの?」


「アンタみたいなのが
 いっぱい見えんの!
 アンタは・・・
 透き通ってるだけで
 全然、怖くないけど
 他は結構みんな
 生々しいんだから・・・
 
 みんなアンタみたいな
 幽霊だったら
 怖くないのに・・・
 
 人をビジュアルで
 怖がらすなんて卑怯よ!!」


思わず大声を出した後
しまった!と思い
周りを見ると
驚いた表情の
他の看護師や患者の視線


「ね、アンタ・・・
 見られてるよ・・・
 
 あの人達に
 オレの姿は見えてないから
 アンタきっと頭が
 おかしいと思われてるよ」


「もぉ!
 アンタのせいよ!!!」


あたしはキッと
悠を睨みつけ
ICUへと向かう

その時・・・
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