ゴーストな彼

小杉 紀代美さんは
60代の女性で
内科的な病気で
2日前から意識がない

2日たった今でも
家族の来室はなく・・・


あたしは
小杉さんの体を
正面から右側に起こす

あいた背中を少し
さすってあげた後
ベッドの側にある
機器のチェックを済ます


患者の急変がない限り
ICUとはいえ
やる事は決まっている


小杉さんの容体を
カルテに書き込みながら
ベッド元から去ろうとすると
背後から強い光を感じ振り返った


そこには・・・

今、ベッドで寝ていたはずの
小杉さんが立っていた


「ぇ?小杉さん・・・?」


あたしはさっきまで
小杉さんが寝ていたベッドを見る


ベッドの上には確かに
さっきあたしが
右に向けた状態の小杉さんが
眠っていた


ベッドの側に立つ小杉さんは
とてもニコニコしていて
あたしに何度も何度も
丁寧に頭を下げた


「小杉・・・さん」


ふと気が付くと・・・

強い光をまとう
小杉さんの体も透けている
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