ゴーストな彼

 ...ヤバ
 反応しちゃった...

 こんな時って確か
 気付かないフリした方が
 いい..んだよね...?


何事もなかったように
あたしがドアに向かい歩き出すと


♪~~♪♪~~~♪~♪


綺麗な旋律を奏でた音色が
あたしの耳に入ってきた


耳に...
というよりは直接
頭の中にといった方が
正しいのかもしれない


 ぇ...?


あたしはまたもや
振り返ってしまう


透けてる男は窓際で優雅に
バイオリンを弾いている

その音色はとても繊細で
どこか悲しげな闇を
引きずっているようにも聞こえる

そんな音色に思わず
聞き入っていると


「ほ~らね
 やっぱり 見えてる」


気が付くと透けてる男は
あたしの目の前にいる
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