ゴーストな彼
女が差し向けた
黒い怨念の塊に
真紀の荷台が覆われる
女が放つよどんだ空気が
しだいに廊下を
包み込み始めると同時に
ズリ・・ズリ・・・と
女がドアに向かい歩き出す
真紀は何かに
とり憑かれたように
第二霊安室の
ドアノブに手をかける
ヤベー・・・
早くココから
立ち去らないと
「やめた方がイイよ」
オレはドアを開けようとする
真紀の手を止めた
その瞬間!
バチーン!と
真紀の手とドアノブの間に
静電気のような
火花が飛び散り
真紀の手が弾かれた
真紀は驚いた表情で
「な、な、何!
ビックリするじゃない
何でアンタがココにいるのよ?
もしかしてストーカー?」
悪態ついているが
真紀の表情には
安堵感が現れていた
オレはまだ真紀に向け
何かしようとしている
女をキッ!と睨む
真紀が荷台を押し歩き出す
オレは女を睨みつけながら
真紀を連れこの場を去る