ゴーストな彼
真紀が甲斐甲斐しく
世話をする側で
おばさんの体が少しずつ
光を帯びてくる
オレはすぐに
おばさんももうじき
こっちに来るんだと気付く
真紀はおばさんの
異変に気付くコトなく
口の中を優しくガーゼで
拭っている
やがておばさんは
上半身を起こすと
ベッドの側に降り立つ
真紀はまだ気付かずに
ベッド横の機器たちを
チェックしている
「小杉さん
また後でね・・・」
真紀はカルテに何かを
書き込みながら
その場を離れようとした
その瞬間・・・
背後から射す
おばさんの放つ光に
気が付き振り返る真紀
おばさんは金色に光輝き
それは決して
眩しいという感じではなく
どこか暖かい
太陽の光を思わせる優しい光
それが「後光の光」である
穏やかに
亡くなった人だけが
放つコトを許される
「後光の光」
おばさんはどうやら
真紀のお陰で穏やかな死を
迎えられたらしい
おばさんは
何度も真紀に
「ありがとう」と
お礼を言っている
真紀は
信じられない様子で何度も
ベッドに眠るおばさんと
ベッド脇に立つおばさんを
交互に互い見る
おばさんは
にこやかに微笑んだまま
そのまま壁をすり抜け
出て行った