ゴーストな彼

大竹 和弘(オオタケ カズヒロ)

47歳

オレが小さい頃からずっと
世話になっている町医者の
二代目・・・


オレがいなくなってから
こうしてずっと
母さんの所に来て
一緒に夕食を食べていく


一人淋しく食事する
母さんを見たら
コイツの心遣いもありがたいが
何となく・・・
男として息子として
コイツの下心が見え見えな気がして
吐き気がする・・・


ま、オレも立派に
マザコンだったってワケだ・・・



大竹はいつも
スーパーの袋を引っさげ
訪ねてくる


オレの仏壇に
手を合わせた後
リビングの
いつもの場所に座る


もう この家も
手慣れたもんだ・・・


こうして大竹は
弁当やビールを自分で持ち込み
母と共に食べた後
11時くらいまで
たわいもない
世間話をして帰っていく


たぶん・・・
悪い人じゃない・・・

一人になった母さんを
救えるとしたら
今はこの人だけだろう・・・


オレは母を大竹に任せ
真紀の部屋に向かった


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