ゴーストな彼
彼女の家では
しめやかに葬儀が
執り行われている
最中だった

あたしは参列者に混じり
お焼香をした

祭壇に飾られた
遺影の女性はまさしく
あたしの家に来て
血を流していた女性だった
しばらく参列者に
混じっていると
あたしの側で
参列者の人達が話す声が
聞こえる・・・

「かわいそうに・・・
 母一人 娘一人なのに・・・
 顔にビニール袋を
 かぶされてガムテープで
 ぐるぐる巻きにされ
 殴られた後 火を
 つけられたらしいわよ・・・
 人間のする事じゃ
 ないわよね・・・」

そんな会話を聞きながら
あたしは

「あの夢はやっぱり
 あなたが見せた物
 だったんだね・・・」

「あなたの無念は分かるけど
 やっぱりあたしには
 力になれない・・・
 ゴメンネ・・・
 もっと力のある人に
 お願いしてね・・・
 一日も早く
 安らかな場所に行ってね」

そう祈り参列者の波を
抜けようとしたあたしは
彼女の存在を感じた
辺りを見回すと
彼女の母親らしき
人の後ろに
遺影の女性が立っている
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