<季節>サンタクロースの願い事
「ちょっと待てよ~っ」



後からついてくる友達の声を聞きながら俺は歩を進める。



ドンっ!



喫茶店の中で壁から出てきた人と俺はぶつかり、お互いの鞄が落ちる。



「あっすいません。大丈夫ですか?」



「っすいませんっ!!」



お互いに謝りながら、俺は座り込んでいる相手の顔を見上げる。



「「えっ…」」



時間が止まった気がした…



それは、さっきまで思い出していた子が俺の前にいたから…



「名前…なんて言うの?」



俺の質問に彼女は、頬を赤くして小さく答えてくれた。



「小西 奈々子…」



「俺は、井山 了…」



俺の顔も赤くなりながら、ポリポリ頭をかく。



「「今度、一緒に…」」



俺と彼女の言葉が重なる。





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