<季節>サンタクロースの願い事
俺は、物陰に隠れてその様子を窺う。



彼女の綺麗な指が本に触れながら



1ページ1ページゆっくりとページをめくる。



(寒いな~・・・いつまでここにいるのかな?)



俺は、彼女に話しかける機会も勇気もないまま時間だけが過ぎて行く。



(誰かと待ち合わせでもしてんのかな?



それにしても誰もくる気配ないしな・・・)



彼女がそのベンチに座ってから1時間以上経とうとしていたが



一向に誰かが来る気配はない。



そんな時、誰かが近づいてくる足音が聞こえてきた。



俺の視線は、自然とその方向に向く。



「お姉ちゃーん!!」



一人の女子中学生がその彼女に手を振りながら近づく。
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