<季節>サンタクロースの願い事
「そんな時に・・・」



それまでの彼女の口がピタっと止まる。



(・・・・・?)



「愛子さん?」



俺は、横にいる彼女の表情を盗み見る。



彼女の顔が少し困惑している。



「どうしたんですか?」



俺の言葉にも一瞬躊躇いながら、さっと笑顔を向ける。



「ううん、なんでもないの。



ただ、私の事を救ってくれた人がいた気がしたんだけど・・・・」



彼女の語尾が小さく掠れる。



「思い出せないの・・・」



彼女の切ない笑顔が俺の胸を締め付ける。



「ふふ(笑)なんでかしらっ」



彼女は、平然を装っていたけど俺には痛々しいくらいに伝わってきた。



彼女の想いが・・・・
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