<季節>サンタクロースの願い事
「愛子さん・・・」



俺に彼女は無理やり笑顔を作りながら立ち上がる。



「今日は、そろそろ帰らなきゃ・・・



了くん、話し相手になってくれてありがとう」



彼女の背中を見送ろうとした時、見覚えのある後ろ姿が俺の瞳に焼きつく。



(アレは・・・っ)



考えるまでもなく俺の足は動きだす。



「シュウジ?!」



俺は、歩きだしていた愛子さんを追い抜いて彼の姿を追いかける。



「了・・・くん?!



シュウ……ジ?



シュウジ……」




俺は、愛子さんが俺の背中を見てつぶやいた事なんて知る由もなかった。
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