<季節>サンタクロースの願い事
その時、彼女の小さい口が動き出す。



「私も見た事ある…ょ」



語尾が段々と小さくなっていく、彼女の言葉。



「え……?」



俺は、自分の耳を疑った。



「見たことあるよ…サンタクロース」



彼女は、そう言葉にしながら顔を上げる。



その瞳は、俺に何かを伝えようとしてくれているみたいだ。



「最近だょ?…見たの」



彼女の言葉に心臓がドキンと高鳴る。



(もしかして…それって?)



俺の考えが伝わってきたようで、彼女はニッコリとほほ笑んだ。



「了くんと一緒に居る人だよ」



奈々子のその言葉に一瞬、俺の思考回路は止まる。
< 79 / 107 >

この作品をシェア

pagetop