<季節>サンタクロースの願い事
「願い事を叶えてくれるっていきなり言いだして…



でも、最近アイツの様子がおかしいと言うか…」



俺は、シュウジの涙をどう伝えたらいいのか、悩む。



(でも、奈々子はシュウジの事知っていた……)



「私、その人を見たの…一回きりじゃないの」



彼女のその言葉にまた、俺は驚く。



「その人、いつもあの公園に居たの…。



いつも、公園の噴水の所にフヨフヨ浮いてた…



でも、たぶん彼は気づいてないと思う。私が見えてる事に」



奈々子の言葉は、俺に勇気をくれる気がした。



「奈々子、シュウジが…あっシュウジっていうのがアイツの事なんだけど。



アイツがある店の前で泣いてたんだ」



俺は、奈々子の前に小さな箱を差し出す。



それは、鞄の中に入っていた、小さくて可愛いラッピングがされた箱。
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