<季節>サンタクロースの願い事
「お姉ちゃんは、たぶんこの時間だったらまだ、公園に居ると思うっ」



いつの間にか手を繋ぎながら、俺と奈々子は夕闇の中を走っていた。



心臓がドキドキしている。



でも、このドキドキは走っているからじゃない。



シュウジに近づけるからっ



この想いは、俺だけじゃない。



奈々子も思ってるはず。



だから、俺と奈々子は信号が赤に変わったのも気づかずに横断歩道を走ってしまったんだ。




横から、トラックが来ているのにも気づかないくらいに俺は…



俺と奈々子は、一点しか見つめていなかったんだ。



トラックに当たる瞬間!



「了!」



シュウジの声と温かい腕が俺を包むのがわかった。

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