<季節>サンタクロースの願い事
「そっ可愛いだろ?(笑)」



彼は、トナカイ2匹を撫でて嬉しそうに笑う。



「ところでさ、ここどこなわけ?それに何で兄貴?」



俺は、態勢に気をつけながら辺りを窺う。



「ここはあの子の奈々子ちゃんの家だよ。



お前、やっと俺の事思い出したか(笑)」



彼は、大きく俺に向って手を伸ばしてくる。



ギュッと抱きしめられた。



「兄貴…だけどたしか兄貴って死んだんじゃなかったっけ?」



俺は、まだなんとなく記憶がアヤフヤでしどろもどろに彼に聞く。



「うん、俺は死んだよ。お前、まだ全部思い出したわけじゃないんだな。



俺が死んだのは2か月前だろ」



兄貴の腕の中は、昔の頃となんら変わり無かった。



「でも、俺記憶が……それに俺だけじゃない。母さんだって父さんだってみんな、兄貴の事忘れてる?!」



俺は、兄貴にどういうことだって詰め寄る。
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