<季節>サンタクロースの願い事
「それは、俺が頼んだんだ。サンタの爺さんに。」



兄貴が俺に真相を話してくれる。



「俺が死んだ時、サンタの爺さんがある条件を出してきたんだ。



爺さんの変わりにサンタになること。



だけど、そうすると皆の中から俺の記憶が無くなるけど、それでもいいかって…」



兄貴が俺の頭をポンポンと叩きながら笑ってくれる。



「それでも、サンタになってもう一度ここに戻って来たかったんだ…」



兄貴が悲しそうに寂しそうに笑う。



「兄貴…ごめん。俺…忘れてて」



俺の目からは、とめどなく涙が溢れる。



「了…泣くな。俺は、お前と居られて楽しかったよ」



兄貴がそっと時計を確認する。



もう、日付は変わっていて朝日が昇り始めている。



明日が…クリスマス。
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