キャンティ
「あ、なんだ、きみも同じことを考えてたのか。そう、結婚…」
「いいえ。違うの。」
僕の言葉を遮り彼女は続けた。
「私、結婚するのよ。あなたじゃなく、別の男性と。」
僕はその言葉を理解するのに約1分23秒かかった。
「え?」
やっとでてきた言葉がこれだった。
「ずっと言い出せなかったの。本当にごめんなさい。」
理解不能だった。
1年も一緒にいて、僕は底抜けに鈍感なのだろうか…。
彼女の背景には他の男の影なんてみじんもなかった気がするが。
少しの沈黙の後、僕は理由を尋ねた。
しかし彼女はただただ謝るだけでいっさい話そうとはしなかった。
不思議と僕は落ち着いていた。
いつでも僕より少し上の立場だった彼女のこれが終わりの告げ方なのか…
そう思った。
湿った部屋の空気と僕達を照らす薄暗い月の光がとにかくすべてが終わったことを物語っていた。
「いいえ。違うの。」
僕の言葉を遮り彼女は続けた。
「私、結婚するのよ。あなたじゃなく、別の男性と。」
僕はその言葉を理解するのに約1分23秒かかった。
「え?」
やっとでてきた言葉がこれだった。
「ずっと言い出せなかったの。本当にごめんなさい。」
理解不能だった。
1年も一緒にいて、僕は底抜けに鈍感なのだろうか…。
彼女の背景には他の男の影なんてみじんもなかった気がするが。
少しの沈黙の後、僕は理由を尋ねた。
しかし彼女はただただ謝るだけでいっさい話そうとはしなかった。
不思議と僕は落ち着いていた。
いつでも僕より少し上の立場だった彼女のこれが終わりの告げ方なのか…
そう思った。
湿った部屋の空気と僕達を照らす薄暗い月の光がとにかくすべてが終わったことを物語っていた。