キャンティ
「バ、バ、」


ポテチの鳴き声で僕は我に返った。


部屋の時計はすでに午後3時をまわっている。


「あいにいけバ。」


ポテチが言った。


「余計なお世話だよ。」


僕はタバコに火を点けた。


ポテチはちょこちょこと動きだしたかと思うと、さっき僕が壁に投げ付けた携帯電話のもとに向かった。


そして、おもむろにティッシュを取り出し、電話を拭き始めた。


「…。」


僕はタバコの火を消し、ポテチを抱き上げた。


そして財布と携帯と車のキーをわし掴みにし、家を飛び出した。
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