キャンティ
ガチャ…


僕が自宅マンションに戻った時には、すでに朝の8時をまわっていた。


ドサ…
疲れきった体をソファーに埋め込む。


タバコを吸おうと手を伸ばしたがどうにも手が震えてうまく吸えない。
疲れているのに眠くもないし、お腹も空かない。


「バ。」


ふと見ると、僕のひざの上にはポテチが乗っていた。


「僕は愛里沙に言わなければならないことがあるんだ。」


僕は、ポテチを抱き上げ、携帯電話を手にとった。


もし、彼女が少しでも僕に未恋という気持ちを抱いていてくれるなら、もう1度、たった1度だけでいい。
愛里沙。この電話に出てくれないか。


言いたいことがあるんだ。


最後にきみに。


ピ…


僕は強い思いとともに彼女のもとに電波を飛ばした。

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