キャンティ
ガサガサ…


「ん?」


俺はさらに酔ったのか、店のレジの横で何か動く物を発見した。


「犬…か…?」


俺が言うと、マスターが言った。


「あぁ。これはティッシュボックスカバーのポテチと言います。」


マスターはすました顔をしてそのポテチとやらを抱え上げた。


「どう見てもぬいぐるみのようだが、動くのか?」


俺が言うと、


「バ。」


その物体は声を発した…。

「よ、よくできたティッシュカバーだな。」


「ええ。かわいいでしょ?人気者なんですよ。とても。」


「へ、へぇ。」


いったい誰に人気なのだろうか…。
しかし俺はふと思い立った。


「そうだ、こいつを少しの間俺に貸してくれないか?あの子に見せてやりたいんだ。なんか変わってるし…」


俺が言うと


「ええ。構いませんよ。」


とマスターは快く承諾してくれた。


「ありがとう。」


俺はそいつを片手に店を後にした。
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