キャンティ
「ありがとう。可奈…ちゃん。」


俺はうれしかった。


「うふふふ。」


可奈もうれしそうだった。


それから俺は毎日ここに顔を出すようになった。
花やお菓子、何を買って行っても可奈はとても喜んだ。


今まで俺は自分の人生を楽しいと思ったことなど1度もなかった。
小さな頃から親戚にまで気味悪がられ、同級生からはずっといじめを受けてきた。高校に入ると、身長も伸び始め、俺は巨大な「化け物」と呼ばれた。教師からもいじめられていた。
何度も自殺を考えた。


そんな人生を歩んできた俺にこの子は小さな楽しみをくれたのだ。
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