キャンティ
「ポテチはね、テレビを観るのが好きなのよ。」


可奈はポテチを抱き上げ自分のひざに乗せる。
そしてテレビを付けると、ポテチはうれしそうにしっぽを振った。


「可奈には見られないから、代わりにポテチが見てくれるの。ね、ポテチ。」


「バ。」


テレビと言っても、流れているのはニュース番組だ。


果たしてこいつにはどこまで理解できているのだろうか…。
俺はおもしろくなり、少し観察をした。


「今日未明、○○区○○のはちみつ工場で火事があり、焼け跡から女性と見られる遺体が発見されました。」


「バ!」


お、ポテチが激しく反応している。
へぇ。たいしたもんだ。ちゃんと理解しているみたいだ。


「はちみつバ!はちみつバ!」


え?!そこ?!


俺は危うく持っていたお茶をこぼしかけた。


「ね、すごいでしょ!?」


得意気に可奈が言う。


「う、うん、まぁ…」


俺はポテチをにらんだ。


ポテチはお構いなしにテレビにかじりついていた。


可奈にポテチに俺。


こんな時間がいつまでも続けばいいと俺は思った。
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